目指したのは『1/f ゆらぎ』。

人間に癒しをもたらすといわれるこのゆらぎを、切花に再現すること。

それは静物としての切花に、時間軸を与えることでした。静止画のように留まるのではなく、見る時刻、角度、そして飾りつけられてからの時間の経過によって動画のように刻々と変化する。アッシュブルーという色のアイデンティティは保ちながら、時間に応じたゆらぎを作る。それが今期リリースした『アッシュブルー2023』です。

まず一本の花の中に微妙な色の差を作りました。上部はやや赤みを持たせてスタートする。これ自体も花びらの表裏で微妙に異なる色を持ち、見る角度、照明、陰影によってゆらぎを生じます。まるで時間旅行のように数日をかけて、この赤みは薄れ、アッシュブルー本来の色に移ろっていく。この経過もまた大きなゆらぎとなります。

今期、JAから独立するにあたって、従来の地場品種を全てお返しし、そして全てを一から組み直しました。大きな賞をいただいたからこそ、アッシュブルーにもまたさらに一つの新規性を持たせて、バージョンアップすることにしたのです。

見るたびに変化していくアッシュブルーの時間旅行に見える『1/fゆらぎ』。さらなる進化を楽しんでいただけたなら嬉しいです。

ファームたかお