倉敷のお花屋さん「アトリエ・トネリコ」の今年のワークショップ。テーマは、花と音楽。
ヴィオラデュオ「viola duo fleur」を迎えて、花畑の中でのコンサートを企画してくれました。
「viola duo fleur」のおふたり土居綾子さんと大道真弓さんは、幼い頃からずっとバイオリンを修練され、現在は岡山フィルハーモニック管弦楽団でご活躍中のヴィオラ奏者。オーケストラで演奏できるのは、クラシックミュージシャンの上位数パーセントもいないといわれている、まさにエリート中のエリート。なぜかお二人のお名前も綾と弓で、どちらも弦楽器を連想させるというのも不思議です。
さらにおふたりともお花が大好きで、デュオの名もお花という意味のfleurをつけたんだそうです。本当にこの企画にピッタリの方たちなんです。
音楽イベントを農園で開催することは、わたしたちにとっても、ずっと長年の憧れで、参加者のみなさんと同様にこの日を待ちわびてきたんです。
この日はあいにく風が強く、予定していた屋外ステージが使えませんでした。そこで急きょハウス内に会場を移したのですが、fleurのおふたりも、屋外での演奏はもちろん、花畑での演奏は初めてとのことで、入念にリハーサルを重ねて、お客さまを迎えました。
花畑のど真ん中で、まずはスカルラッティのソナタから。
リラックスした雰囲気の中で静かに演奏が始まると、バロック後期の優雅な世界にスリップしていきました。花畑の中ということもあって、まるで夢の中のよう。こうして二曲目、三曲目とさらに深くクラシックの旅は続きました。
後半はバラエティに富んだポピュラーソング。花をテーマに音楽で四季を巡ります。
スイートピーといえば、あの名曲「赤いスイートピー」ですね。ちょっと切なさのある春の名曲を、立ち上がりが穏やかで優しい音色を持つ2つのヴィオラがぴったりと音を織りなし、時に弾むように、時に流れるように、軽やかで艶のある季節の空気を見事に表現。風にのって流れてくる甘い花の香りも、演奏をさらに盛りたてて、花畑の中の観客席の皆さんは、全員うっとり聞き惚れていらっしゃいました。
まだ音楽の余韻の残る会場で花を摘む参加者の皆さん。
花摘みの後、トネリコさんによる器の投げ入れレクチャーもあって、皆さん真剣に聞き入っていらっしゃいました。この日も丁寧に一人一人のお客様と接するトネリコさん。変に気取ることなく、日々の暮らしの中に花文化をさりげなく取り入れるコツがたくさん盛り込まれているのも、実にトネリコさんらしくて、素敵でした。
ヴィオラコンサートと相まって、内容もりもりのワークショップで、皆さん深く記憶に残るいちにちとなったに違いありません。
Photo by @tonerico_okayama