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ハッキリしないから比較する

先日、近所の農家さんと立ち話をした時のことです。農薬ゼロの栽培方法や土壌の菌について質問されたので、うちの農園の考えをお話したところ、試した資材の効果を評価することが難しいとおっしゃるのです。つまりその資材の効果だったのか、気温や日照といった日々変動する気象条件のためだったのか、考慮すべき要素が多過ぎて、結局よく分らないといったことでした。

 

その話を聞いていて思ったのです。科学的に物を調べる基本は、調べたい項目のみを変化させて、それ以外は対象区として条件を全て揃えて、比較して観察、記録することにあります。それさえ守れば、気象条件やその他の条件がどうであれ、調べたい資材がどんな結果をもたらすのかを明らかにできるはずなのです。

 

でも売り上げを見なければならない農家にとって、この点を守れるケースはそう多くはない。つまり対象区を作らず、畑全面にその資材を投入してしまう。すると、その効果は天候条件の全く違う前年、前々年の作柄としか比較することができないから、正しい状況把握ができないことになる。これを何年続けても有益なデータの蓄積にはならず、その結果、それを応用することもできない状況に陥ってしまうのです。

 

僕はコーヒーが大好きです。美味しいコーヒーを淹れることは、実はこの畑の話とよく似ていて、温度や時間、豆の量や挽き方など、様々な条件に関係しています。少しでも美味しいコーヒーが飲みたい僕は、以前から調べたい項目以外の条件を全て揃えて、その項目が味にどんな変化をもたらすのか、日々のコーヒーを淹れながら比べてきました。その記録を蓄積してみると、例えば温度や時間が味にどんな影響があるのか、また、粗挽きと細挽きで何が変わるのかなど、それぞれの条件がどんな味に繋がるのか、次第に理解できるようになりました。

 

畑も同じように、複雑に絡んで見える状況を整理して、項目ごとに比べることで、徐々に見えてくるものがあるのです。一見、余計に時間がかかるように思えても、実はそれがとても大事なことで、結局短い時間で理解を深められると思っています。

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