アルジの植物道楽

筋肉もないのにタネを投げる植物

僕(アルジ)にしては、たまたま良い写真です。というのは、花が咲いて、サヤになって、それが乾燥して、最後にはくるくる巻貝のようにバネ状になっているのが、この一枚で全て分かるから。

 

今日のテーマはこのサヤのことです。

スイートピーのタネはサヤの中にできます。タネは中で成長するのと同時にサヤは乾燥していきます。同時にその乾燥がサヤを巻き巻きしようとするんです。そして機が熟すと、この巻き巻きしようとする力に負けて、サヤがパチンと割れて弾けるんです。その時タネが周囲に飛び散るという仕組みです。どれくらい飛ぶかというと、1、2メートルは飛んでいきます。

 

この機構を初めて知った時、僕は驚きと尊敬を感じました。サヤがノの字型に微妙に反っているのは、このバネ状に乾燥させるためなんです。皆さんはお味噌汁を作ったりする時に絹サヤの周囲の繊維を取ると思います。あの繊維はこのバネを形作る重要な要素なんです。サヤの周囲は乾燥しても縮み難いのに対して、サヤの中程は乾燥してどんどん収縮します。その結果、バネ状になろうとするんですね。筋肉を持たない植物が、こんなにシンプルな機構でタネを遠くに投げる。こんな機構を考えろと言われても、僕には多分何年かかっても無理だと断言できます。自然の偉大さをこんな所にも感じます。

 

とはいえ、農家の僕たちにとっては、これはとても困ったことです。なぜならタネ取りのタイミングを逃すと、全部飛んで行って集めることができなくなるから…。なので、毎日巡回してこまめに取ります。マメだけに…笑

なので作業も毎日続きます。そう言っているうちに畑の中では、パチンパチンと弾ける音がしています。

「大変だー!早く取らなきゃ!」

今日もタネ取りに行ってきます!

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